肉を洗ってはいけないという言葉について
2022年6月末〜7月初めに、日本では生の鶏肉を提供して食中毒を起こした、割に大きなお店の話が話題になっています。
それについて語る際に、「鶏肉を洗ってはいけない」というような言質が注意事項として流れてきますが、海外にいると、現るを得ないケースもあるわけです。
日本であれば洗う必要もない状態で生肉が売られているので、あえて危険を犯す必要はない、という意味で「洗ってはいけない」という言い方でも問題はないかもしれませんが、東南アジア諸国ではそうもいかない事情があります。
というわけで、あえての再掲。関連記事もよろしかったら。
お肉を洗うという話
ベトナムに来て驚いたのは「肉は洗って使いましょう」と言われてるケースがあったこと。
肉を、洗う?🤔
日本だと衛生管理が行き届いている(とされてる)食肉加工経路を経て来ているので、肉を洗うなんて考えたこともなかったです。でも…
卸売場や市場の様子、スーパーでの管理状態を見るにつけ、うん、ああこれは洗いたくなる気持ちはわかる、となるに至るなど。
例えば菌に関しては、加熱することで対応できるケースがかなりある。牛肉などに関しては表面に付着しているものが問題なわけだし(=表面をしっかり焼いたらかなり危険は減る)、豚肉・鶏肉には十二分に火を通すことが鉄則なのはご存知の通り。
だったら特に鶏肉なんかは洗わなくてもしっかり加熱したらいいんじゃない?と思われそうですが…
やー、あの加工現場を見ると、菌とかそういう話じゃなく、なんなら目に見えるものが色々付着してておかしくないって環境なので、そりゃ洗う。洗いたくなる。ってことで…
肉を洗うか洗わざるべきか、という点については人それぞれかと思いますが、私はローカルで買ったものは洗ってます。最近は、きちんと信頼できる流通経路や取扱店もあるとは思うんですけどね。その見極めも判断基準をまだ持てていないので、ローカルで買ったものは洗ってます。
洗うは良いが、気をつけて
洗う洗わないについて、洗うと決めた方に。
今度は洗い方の問題。
水で流す、というのは汚れを落とすのにとても有効な手段ですよね。潤沢な水を次々に流すことで、汚染された水はそこにとどまらず流されていく。これ、清潔な手段に感じるかもしれませんが…
肉を洗うときに流水はご法度
なぜなら、飛沫がすごいから。
飛沫。ここ2年弱のウイルスに関する話の中でもよく出てくる言葉ですよね。
飛沫は、想像する以上に飛び散っています。水は透明で見えづらいから意識しづらいかもしれませんが、汚染物質は確かにそこにいる。
ここしばらくで、咳やくしゃみでウイルスがどれくらい拡散されるかとか、もっと前からのデータだとトイレでの飛沫がどんな拡散の仕方をしているかなどを可視化したものを目にした方は多いと思います。あれと同じ。
透明で小さな水しぶきがそこら中に飛び散っても、目視するのは困難です。困難なので、うっかり「ないもの」としてしまいがちですが、そこに菌がいた場合、そしてその菌がアクティブだった場合、確実にその作用が起こります。なので…
洗うときには大きなボウルやシンクにある程度冷たい水を溜めて、静かに洗う。洗った水は静かに流し、数回替えつつ肉を洗う。
「ある程度冷たい水」というのは、ホーチミンの場合、水道水がお湯のことがあるから。せっかく菌を洗い流すための作業なのに、そこで温かい環境を与え、菌の増殖のお手伝いをしては意味がない。
あと真水に浸けるとお肉がふやけちゃう、と思われる方もきっといますよね。
そんなに瞬時に水分を吸収するお肉はないと思うんですが、お肉への生水の作用を抑えるために、私は溜め水にお塩を少し入れて洗っています。
水道水でザンザン流しながらの方が清潔そうじゃん!と思われるかもしれませんが、何度も言うように、その際には飛沫がすごい勢いで飛び散ります。
それは絶対に避けたいところ。その飛沫が包丁について、それで切った野菜を加熱せずにサラダで食べたら?すでに調理済みの皿に飛び散ってしまったら?
きっと味には大した影響がないと思います。せめてそれが苦かったりしてくれたらいいのですが、目にも見えないような細かい飛沫。味覚で感じるのはほぼ不可能→そのまま摂取して中毒に、という流れが懸念されるのです。
鶏についてる何の菌がそんなに怖いの?
ちなみに、鶏の中毒で取りざたされるのは、カンピロバクターという菌。
こいつはちゃんと加熱すれば問題のない菌です。なのでぶっちゃけ、カンピロバクターだけに関していえば、洗わなくても調理をすれば大丈夫。
ですが飛沫が飛んだ先のもの(サラダやすでに出来上がった料理)を加熱せずに食べた場合、中毒を引き起こす可能性があります。その症状は、
腹痛、下痢、嘔吐、発熱引き起こし、ひどい場合には血便を生じることも。通常は、2~5日で回復するらしいのですが、稀に再発することもあるとか。
それだけならまだしも、合併症を起こした場合、下痢後1~3週間後に手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を起こすこともあるという恐ろしさ。
それが重症化した場合には、後々まで歩行障害やその他の機能障害などを長く経験しなくてはならないこともあるのだそうです。
衛生的なことに信頼がおける日本国内ですら、発生する食中毒の中では、件数・患者数ともに毎年上位にランクされる中毒事故であり、それがベトナムであればなおのこと、だと私は認識しています。
日本の衛生的な流通環境ですら起こる、というのは、消費者の知識不足や対応不足のことが多いから(流通経路が原因ならとっくにもっと規制が厳しくなっているはず)。
私もキッチンのことが万全とは言えませんが、自分や家族の安全のために、せめてわかっていることには気をつけて、少しでも疑問を抱いたら、調べて納得した手順でやっていきたいものですね。
ホーチミンでの外食における食中毒回避の心得
2022年7月現在、外食による食中毒の報告が相次いでいます。日本ですら事故が起こるのですから、衛生規制が日本より緩いベトナムではなおのこと。
とういわけで、外食時における食中毒回避の心得を、別記事を書いています。完全な回避方法ではありませんが、心得として提案させてもらえたら幸いです。
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詳しい使い方はこちらへ⬇︎
ttps://cheritheglutton.com/cherimap-manual/
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