信金ファインダイニングレストラン花盛りのホーチミン。ただ価格も会話も敷居が高い、というお声もちらほらと。では、日本語対応ができるお店ではどうでしょう?
宿日本進出
ダナン発祥で、ホーチミンでも人気のファインダイング、Nen Light。
こちらが最近、東京にも進出を果たしたというニュースを目にしました。食べログさんでも、先日ピックアップされてたようです。
ダナン発、モダンベトナムの名店が代官山に。日本の食材と感性で織りなす革新的な一皿
▶︎https://t.co/dLJ3FU9a5l食べログ」に新しく登録されたお店の中から『注目のお店』をご紹介。今回は代官山にオープンした、ベトナム・ダナンの人気店の日本1号店。#食べログマガジン#NénTokyo
— 食べログ (@tabelog) September 26, 2025
正直、もしも同じ路線でのベトナム料理を展開するのであれば、その進化は、相当ベトナム料理に詳しい人でないと真価がわからない気がしないでもないのですが、そこはそれ。
あれだけクレバーな料理を作る集団なので、知らない人にも楽しんでもらえる仕掛けを用意されるのでしょう。今後の展開が楽しみですね。
ちなみにこちらの記事は2023年3月の、ちぇりまっぷの限定記事としてクローズド公開されたものです。
なので、2025年現在とは多少様相が変わっている可能性がありますが、日本進出を機に、こちらの記事を公開することにしました。
現在の様相とは変わっている点があるかと思いますが、ご了承くださませ。
話題のお店
※ここから以降は2023年に書いた記事となります。
2025年現在のお店とは異なる点も出てきているかと思いますがご了承ください
そもそもダナンで実績のあったお店。
ダナン時代から人気だったようで、ホーチミンにできてからとにかく良い評判しか聞かず。
ベトナムの方からはもちろんのこと、ファインダイニングにしては、ちょっとこれまでになかったくらいに日本の方からもお声を聞くことが多く。
今回、「ちぇりさんこの店知ってる?!」と、強く勧めてくれたのも日本の方。リストには入ってたのですが、ファインダイング系はお財布との相談も必要なので、すぐさまトライ!とはいかないため、ついつい先送りにしてました。
しかし強力なプッシュを受けて、tamago会案件にさせてもらった次第。
予約時の驚き
ところで可能な限り、行き着けていないお店ほど、予約は現地に足を向けて、環境の確認もかねてする主義です。特にこういうお店はデポジットが必要になるので、そのお支払いも兼ねて。
大抵は銀行振込で済むのですが、できればカード払いがありがたいという側面もあり。
で、こちらにも出向いて予約をし、その際の対応を拝見していたら…実にスマート。
実質予約に必要な作業の流れもスムーズだったけど、間に交わす会話が非常に知的で、食べる前から、ご自身たちのお料理に誇りを持っていらっしゃる様子がわかります。
この回は10人という大所帯だったのですが、そのことを知り、「英語はみなさん話されますか?」という、会話のおここお使いまでいただくなど。
しかしそこには別の意図もあって…
ほとんどの方は喋れるけれども、なんか難しい場面があったら私が間に入ります、というと、
「あ、いえ、よかったら日本語対応もできるのでお申し付けください」
と、日本語で返ってきた😅
実際当日は料理の説明を日本語でしてくれた。それが一人のスタッフだけじゃなく、10人からのテーブルだったので二手に分かれて、その二人共が日本語だった。
まあ、ネイティッブレベルとは言いませんし、お料理の話を普段されない方には難しい面もあったかもしれませんが、そんなのは英語で聞いたってわかんないだろうから、お客さんのためにというおもてなしの気持ちをありがたく受け取るが吉。
お料理
おそらく定期的に内容は変わるものと思われるので、細かな解説は控えますが、全体の流れとして…
まずはベトナムの食材を主軸にする、というのがあります。
ジャンルとしてはフュージョンだったり創作だったりするようですが、基本、ベトナム食材への敬意を持ったもの、という括りで間違いはなさそう。
最近は小さなカフェレベルから、ベトナムの素材を大事にアピールする、という動きが強まっていて、良いムーヴですね。自国を敬愛することは単純に素晴らしいし、精神衛生上もとても良い。
そしてそのストーリーはここの料理の背景だけではなく、もちろんコース全体を通すものでもあり、初手の料理のテーマは、「挨拶」。
お料理の1ターンごとにその詳細をイラストで描いてくれているのも好ましい。
そして絵が、達者すぎないタッチなのも、良い(๑•̀‧̫•́๑)
いや、これもまた技術で、私はこういう感じにすら描けないし、こう書くのもまた技術だと思うんですが、親しみがある(*´꒳`*)
そしてお気づきかと思いますが、お話が聞き取れない場合でも、こうして日本語の解説カードがついてくるというね…。
そしてかなりこなれている。。。
聞くところによると、どうやらこのお店を運営されている方たちは、日本の最高ランク学府で単位を収められ、このレストランは彼らのビジネスの「一環」であり、他にもいろんなビジネスをされていらしゃるご様子。
とんだエリート集団だな…
そんな彼らは探究心にも溢れており、ベトナムの、しかも食材にそこそこ詳しい方をしても知らなかったような素材も用いて見たり。
そのインテリジェンスは、レシピに落とし込まれ、美味しさとなって客に届けられる。
美味しかったものの味の感想を「理知的」と表現せざるを得ない経験は、過去にもそんなになかったかも。
さらにはこの手間のかけ方。
手間もかければいいって話じゃないけど、お外で食べるご飯にその「手間」がかかってくれていると価値倍増。
家ではしないものを食べさせてもらえると、お外で食べる甲斐があるなあ、とか。
この時のtamago会には、ベトナムの方も参加してくれてたのですが、しかもかなり食べ物に明るい方だったにも関わらず、食べたことのない食材を使われてたりして興味津々。
こちらは「ノリ?」と日本人には思わせる様相ですが、この原料は野菜の一種。
Do、という伝統的な紙の作り方を、それに必要な濃度を持った野菜にそのまま転用して紙のような、結果的にはノリのようなものを作ったという次第。
どの料理も、ベトナムの食材を使うだけでなく、また珍しいものを起用するだけでなく、文化も含めて料理に反映させ、ストーリー性を持たせる、というのがこちらのお料理の特徴の様子。
味に関してあまり触れてないのは、しばらくするとこのラインナップはかわるであろうことと、あれこれ言うより、これは体感して見てほしい味だから。
人は慣れないと素直に美味しい、とは感じにくいものですが、ベトナム料理全般にある、よその国の料理なのにどこか懐かしかったり馴染みを感じる味だったりで、逆に味わうことに集中するより、素材やストーリーに注意を傾けられる程度には、すんなりと受け入れられる味。
ワインペアリングを頼んだのですが、これがまた面白いラインナップで興味深かった。
ベトナム料理が漢方的東洋医学に基づいた構成のレシピになっていることは、私も食べ物についての文中でよく触れるところ。
しかし彼らは作り手側のプロフェッショナルであり、ベトナムオリジンのレシピを一から組み立ててらっしゃるので、当然ながら私が触れるところよりもずっと深いところを組み込んだものにしてくれてる。
これとかも面白かったなあ。何、と言って強く主張するものではないのですが、料理の組み立てが面白い。
このソースを、別のクリスピーなアイテムで一直線に全てのソースを掬って食べる。面白い。
こんなも面白いアイテムもありました。
ふふふ。これは食べる機会がある人がいるといけないので、ネタバレしないようにしないと、と思ったけど、写真載せてもわからんわな(笑)
しかももう一皿とのコンビネーション。面白い。
もちろん、このお料理にもストーリーが。
だから予約時に、ゲストの主要言語を気にしておられた。確かにこういう話をお酒を飲んでいる時にされてもあまり頭に入ってこないかもしれない。
いやまあ日本語でも、わいのわいの友達と騒いでいる時だと耳を滑るのですが、こうして文字で見せてもらえると、よくわかりますね。私みたいにこうやって後で見返すこともできますし。
そしてこれはおかゆ。
わたしが見てきた中で一番おしゃれなおかゆだわね(笑)
そしてこちらはお魚の一品。
そうね、おかゆにはちょっと味濃い煮付け的なものを添えることもありますわね。こんなにおしゃれじゃないけれど(笑)
おかゆの料理のタイトルは、「ホーム」。
確かにホッとする味だわね。
そしてデザート。
これがまたクレバーな味というか、素朴なんですがなさそう、非常に感がげ抜かれていて、知性を感じるレシピの組み立て。
元々はダナンにあったお店だからか、食材もダナンのものが多かったですが、メンタル的にもダナンへのオマージュを忘れない。
こういう感じの、奇をてらったような演出が嫌味にも陳腐にもならないのは、彼らの料理に対する姿勢が真摯だからだと推察。
そして、これだけ見慣れぬ様相のものでありながら、そして実際新しい味わいなのに、ゆっくりと楽しめるゆとりをくれる。
そういえばホーチミンに新しくきた人が、時々こういう。
「はじめて来た異国なのに、どこか懐かしい気がする」
私もそうでした。ベトナムの持つそういう度量が、こちらのお料理にも表れているのかもしれません。
最後の黒い隕石みたいな容器に入ったデザートの中のフワフワはコットンキャンディ。チョコレートに黒ごまのソース。
いや、始終興味深かった。
そしてホスピタリティに溢れた店だった。
全体に感じたことは…?
技巧もさることながら、レシピの発想や着想、そしてそれを具現化するだけのキャパを持つ店。そのキャパは技術的なことでもあり、心の持ちようのことでもあり。
テイスティングメニュー的に小さな量の料理が続く前半は、これでお腹が満ちるのだろうかと疑心暗鬼となり、食後にどのラーメン屋さんに行こうかと頭の中で考え出したのは内緒だ。
でも結果っとしては、少しゆっくりと時間をかけて進行することもあり、お酒も入ったので十分に満足のいく量でした。
また今回は10人の大所帯で、お酒を飲む人・飲まない人、品数が7品の人・9品の人、とかなり複雑な分かれ方をしたにも関わらず、お店の方は厭わず対応してくれた上に、淀みがなかった。
ドラマのエピソードにするような特殊なサービスはないものの、いや、日本語でこれだけのことを説明してくれるというのはすでに特殊か…(笑)
言い換えます。ドラマティックな出来事こそなかったけれど、それはその機会がなくて良いよう、小さなところを気にかけて最初から細やかにサービスをしてくれたせいもあると思う。
良き、お店だと思います。
そりゃみんなから良い話が聞こえてくるわけだ。
お値段的にも、9コースで2,570k。
普段使いにはお安い金額ではないものの、デートやおもてなしにもいいし、ベトナムの食材や文化に興味のある方をを連れするには、日本人の私たちではどうにも提供が難しいひと時を、お店が代わって提供してくれるのではないでしょうか。
予約時のデポジット
予約時にはデポジットが必要です。
日本では 珍しいケースですが、ドタキャンによる損害をお店側が減らすためにも、客がお店に「心配しないでください」という気持ちをを示すためにも、デポジットはある方が健全。
しかしデポジットを取ってなお、批判的であることを目的にくる人はいるでしょう。でもそうなった時には「お金を払ってまで文句を言いたい」と言ってるようなもの。
そういうケースも受け入れる度量の深さのあるお店だなとも思いました。
またデポジットというのは、別にエクストラでかかる料金ではなく、飲食した際の金額から引いてくれる金額なので、別に腹が痛むわけじゃい。
むしろ、デポジットを入れることでお席の確保が強固なものになる、と考えたら、デポジット制、私は歓迎ですー♪
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詳しい使い方はこちらへ⬇︎
ttps://cheritheglutton.com/cherimap-manual/
お店情報
Nen Light
122/2 Tran Dinh Xu, Q1
Time: 18:00 – 23:00(日曜定休)
※要予約
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