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お正月なのでお餅についてツラツラと話してみるなど

食品

昨年後半からちょっと試みてましたが、今年はお店の話ばかりでなく、食材、とか料理、とか料理する人、とか、ちょっと焦点を絞り込んだ記事も書いていきたいなーと思ってるので、皆さんからのお題リクエスト、お待ちしております!

餅のシーズン

餅。
年中いつでも売られているし、いつ食べても良いものですが、やはり何と言ってもお正月。この時期に食べられるお餅の量は圧倒的なのではないかと思われ。

これはちょっと古いデータですが、6〜7年前の総務省調べによると、

やはり12月がダントツなんだそう。
食べられるのは1月なんでしょうけど、餅が購入されるのはお正月準備をするう12月、しかも年末キワキワになってからということなので、ざっくり「餅は正月のもの」と言っても差し支えなさそう。

なんでお正月にお餅?

これ諸説あるようですが、明確な記述がなかったとするものもあり、色々後付理由が飛び交っている様子。

一般的には、加熱した餅は長く伸び、なかなか切れないことから長寿や良いご縁の継続になぞらえて、喜ばしいものとされてるから、という説がよく出てきますね。

また元来お餅は神様に備えられるものだったため、それをお供えののちにいただくことで「あやかりたい」という気持ちもあったからではという話もあり。

ではそもそも、なんで餅を神様に備えるようになったのか、という話ですが、自分的には「んなもんん、美味しいからちゃうのん?」と思ったのですが…

ここちょっと違う角度からの話もあって。
そもそも餅は、稲の神様である稲霊(いなだま) を象徴していたという話もあるようなのです。

貴重だからとか美味しいからとか(え?)そういう理由で神様に「まあどうぞどうぞ、偉い方から召し上がってください」という話かと思ったら、餅そのものが神様だった???

餅=神様だったとされる由来

奈良時代に編纂された『豊後国風土記』(713年)という本に、こんな話があるそうです。

豊後の国(現在の大分県)の球珠速水(くすはやみ) の郡(こおり)の田野(たの)に住んでいた人達は稲作を生業としており、ある時余った米で大きな餅を作ってそれを的にして矢で射る遊びをしていたと。

しかし矢が餅に見事命中した際に、その餅は白い鳥になって飛んでいってしまったそうな。その後、家は衰え、水田は荒れ果てた野になったことから、

「あの餅は神様だったのではないか。いや、餅が化けたのは白い鳥だったが、餅から取りに変化できるなど、神の御技としか思えない」

→餅=神、という話になったとかならなかったとか。

いや神さん、餅の姿をしてて遊ばれたからと言って、そんな復讐をするのはどうか。「どうも、神です」と最初から言ってくれれば、彼らも矢の的になどしなかったはず。

神さんそれは面倒臭い。うちら人間で神さんでもエスパーでもないねんから、察してちゃんは困ります。ちゃんと明確に言葉で言うとっておくれやす。

ともあれ、餅を神棚などに備えるのは、神に捧げる、のではなく、神がおられるべき場所にお運びする、という側面もあったりしたのか????

素人が少々調べた程度では、餅をありがたがる起源は様々。諸説あるようなのですね。

日本の民は良く神食う民だ

ところでちょっと角度変えます。
隣の客はよく柿食う客だ、ではありませんが、日本の民は実に神を噛みしだく。

例えば、米を1粒たりとも残さず食べるという教育を施すために、1粒の米には7人の神様がいるから無駄にしてはいけない、なんてことが言われます。

神が7「人」…。違和感あったので調べたら、神の助数詞、神を数える単位が「人」で良いのかどうかを調べたたら「柱」がを使うらしいですね。今後はそれで行くことにします。では話戻して…

神は食い物、という前提もすごいよね。まあ食べ物を粗末にしないために、食べ物=神であるとすれば「大切に扱う」ことには繋がるので筋は通っているようですが…

冷静に考えると、1粒の米に7柱の神→茶碗軽く一膳で一般的には4,000粒(約80g程度)のお米があるとされている(ちぇりざっくりネット調べ)→一度の食事につき一膳のご飯を食べたとしたら、28,000柱の神を噛みしだいていることになる。

餅1個は、白米150g程度に匹敵するなどという話もあるので、たった一つの餅を食べただけで、56,000柱の神をいただくことになる。(数字概略)

進撃の巨人が人を食うのの比ではない。
神様、受難。

さすが八百万の神の国。一神教の教えに従う国みなさまには絶対に起きない発想だろうと思われる。一神教だと食べたらそこで終了だもんね。でも日本には潤沢な人材ならぬ神材が在り、全国民が食べても食べても尽きない潤沢さが売り。(売り?)

希少性から大事にされることはないかもしれんが、日々の糧として欠かせないものという意味では、感謝も敬意も持たれているものと思われる。

神の反乱?光の当たる先にある影で暗躍する餅

しかし米に込められ餅に込められした一部の神さん方にしたら、たまったものではないのかも。特に、効率よく多数が噛みしだかれてしまう「餅」において、神の反乱軍がいるように思われる。

神の反乱軍。なんかもう日本語が色々おかしい気がするけど、押し進める。

餅と化した神々は、めでたいもの、尊いもの、栄養価が高い役に立つものとして珍重されるし好まれる。日本全国民から「よきもの」とされて、その地位を譲らない。しかし一方で…

毎年正月時には、凄まじい数の事故を引き起こしているのも、また餅である。

この話で持ち出されるデータがまっちょっと古くて恐縮なのだが、食べ物が原因の窒息死というのが年間3500人ほど、という数字があった。そしてその「食べ物」の中で餅が占める割合は、1割弱。

これだけ無数の料理、食材が氾濫する世の中にあって、そしてそのどれもが誤嚥を引き起こす可能性を持っているというのに、餅単体が事故の1割を占めるというのは、かなりのアサシンぶりだと思われる。そしてそのアサシン事案は世に詳らかにされている。にも関わらず…

餅は特に規制されることもなく、世に憚っている。

私は餅を食うな、などとは言わない。私も餅は大好きだし、正月のステイケーションから家に戻ったら食べるつもりでもいる。餅をいただけば嬉しいし、正月に振る舞い飯を作るなら、餅を必ず引き合いに出す。

しかし皆さん、覚えておられるだろうか。
かつて、2008年に、こんにゃくゼリーで死亡事故が起きた際、その企業は徹底的に吊るし上げられた。しかしそれよりずっと多くの死亡事故を引き起こしていた餅は素知らぬ顔で、その翌年の正月になんの規制もなく歓迎された。

主に政治的動機がこんにゃくゼリーへの対処に及ばせたとされてるけれども、対処は必要で在り、その施策が誤っていたとは思わない。新規に出てきた食べ物についてのリスク対処を、該当象徴は正しくされたものと思われる。

ただし、既存の餅にそれは適用されなかった結果、表面的には「こんにゃくゼリーは極悪、餅は何も悪くない」と言った様相。餅の方がはるかに多くの人を殺めているにも関わらず、である。

したたかである。
その実は真っ黒なのにその見た目で白と言い張り、通してしまう力技。

見上げたものだ、とも言えるけど、世の中の理不尽さを象徴したような出来事だった。その頃、食品関係に携わっていた身としては、いまだにあの理不尽さが忘れられない。

慣習だから、歴史があるから、愛好者が多いから。
理由にならない理由で凶悪なる事態を招いても「君(餅)は悪くない」という絶対的な地位を築いている餅は、やはり神の力を持って反乱をおこしているのかしれない。(違います)

対反乱軍カウンターメジャー

ただ、神も無慈悲ではないようで、私たちに成す術がないわけではない。

餅を食べる際に、

・小さく切る
・餅を食べる前に、お茶などを飲んで喉を潤す
・よくかんで、唾液とよく混ぜてから飲み込む
・高齢者が食する時は周囲の人間がよくよく見守る

などの対応で、喉につまらすことを未然に防ぎ、有事の際には対応できる人を増やしリスクを減らせる。必ずしも安全ではないけれど、それを言い出したらどんな食物でも誤嚥する可能性はあるので、個別にできる対応を取るなら、という話において。

これだけ毎年報道されていても、尽きない餅の窒息事故。「なんと今年は一件もなかったよ!」というニュースが流れるようにするためにも、餅を食べる際にはよくよく気をつけましょう。特にお年寄りが危険とのことですが、老若男女、同じこと。

自分もやっちゃう側の年齢に近づいてきている今日この頃、食べる時にはよくよく気をつけたいと思います(-人-)

番外編:雑煮の餅に複数はあり得るのか

特に何か理由を聞いたことがなかったくらいには、我が家では当然のように、雑煮の餅は1個だった。特に「何個にするか」と聞かれたこともなかったように思う。

しかし今年のSNSを見ていたら「お雑煮の餅は○個!」「○個も雑煮に入れちゃったよー」などというセリフをたくさん見かけて、(え?お雑煮のお餅って2個以上入れたりするの?え?)となってる。

多分毎年繰り返されてきたことなんだろうけれど、なんだか今年は目について、もしかして雑煮に餅一つ、というのはかなり質素な例なのだろうかと思うなど。

唯一複数個派の話を聞いたことがあるのは日本にいる最も近しい友人の一人で、正月3ヶ日で20個は食べるというツワモノだった。それだけを食べるからには雑煮1回で食べる量もそれなりで、4個5個となることもあったと聞き…

まあそれは別枠だな、としてたので、余計に「複数は特殊」と思ってたら世の中結構、複数個数派の方は多いらしい。

振り返ると、「雑煮の餅は1個」という固定概念があったから、人に雑煮を勧める時に個数を聞いたことはなかった気がする。焼くかそのまま煮るかの確認はするけど、個数確認は多分、ない。

もしかしたら2個、3個と食べたかった人がいたかもしれないのに「もっと食わせろ」とは言い出しにくく、しょんぼりしながら1個だけの餅の雑煮を啜らせていたかもしれない。なんということだ。

これからはもし人様にお雑煮を振る舞う際には、必ず食べたい餅の個数を聞こう。そしてそれに応えられるよう、潤沢に餅を用意しておこう。

皆さんはお雑煮のお餅、いくつ入れて食べますか?
お餅一つでも色々とネタがあるもんですねー♪

 


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