今回は本当にええもん。
バンコク市内最高級と言われる、マンダリン
オリエンタルホテル内のフレンチレストラン。
実は自分で行こうと思ったのではなく、
お友達が参加するという「着物会」のホーチ
ミン:バンコク合同ランチ会に、なんと私も
混ぜていただくことに。
もちろん私は着物など嗜むだけの器量がない
ので着物ではないのですが、皆さんはもちろん
お着物をきてご参加になられるどころか、
中には着付けの先生だったり、ファッション
に関するプロフェッショナルがおられると
いうことで恐縮至極。すいません、白鳥の
中に1羽だけアヒルの子みたいに一人で洋服。
それでも快くお仲間に入れてくださった
皆様には、本当に感謝。こんなフレンチに
一人ではさすがに行く気にならないし、
なかなかない機会。
フレンチレストランへ行くにはちょっと
ややこしい経路をたどらないとなので、
ロビーにてスタッフさんに聞くのが良い
でしょう。
さすが、泣く子も黙るマンダリンオリエンタル。
ロビーのプレゼンもなかなかのもの。場所的に
地味なのと、路地の奥まったところにあるのが
意外でしたが、中に入ってしまえば別世界。
おそらくこれも季節ごとに変わるのでしょう。
なかなかゴージャス。ロビーカフェもあるので、
在住の方なら手軽に日頃の気分転換に使えて
良さそうですね♪
ただし、さすがのホテル。
両替レートは、街中のそれと比べてびっくり
するほど高かった(´⊙ω⊙`) ま、こちらを
利用されるようなことはそんな瑣末なことは
考えませんよね。。はい、準備してなかった
自分が悪ぅございました。。。
レストランフロアに来ると、入り口から十分な
数のスタッフさんが、恭しく案内をしてくれます。
決して客を前に出すことのないエスコート。
卓までにいくつもある段差はなんでつけたんだ
お前と思ったけど、「足元にお気をつけを」
というギャルソンさんたちの所作が大変美し
かったので、それを披露するためのものかと
無理やり納得(んなわけないわ)
窓の外の景色は、ベトナムのサイゴン川を
眺めるが如し。川の水は「アースカラー」
です(๑•̀‧̫•́๑)
が、タイのこの川を行き来する船の速度と
その進行方向の自由さって、ちょっと一見の
価値ありますよねw シャングリラホテル
からもしばらく眺めてた記憶があるわ。
10人という所帯だったので、主催して下さった
方にお任せしてワインをシェア。1本を開ける
には微妙なところですが、さすがのスタッフ。
実に見事な所作で抜栓し、頃合いの量を注ぎ
分けてくださるなど。
集まりに関しては全くの門外漢ではあったの
ですが、お隣にホーチミンからお越しになっ
てた着物会のメンバーの方が位置してくださ
っていたので、なんとまぁ心強かったことか(´Д` )
いえ、その方達ともそんなにゆっくりお話を
したことはなく、なんでもこのブログを見て
下さっているということで随分と好意的に
接してくださり、なんというか心強いこと
この上なかった。。。あの時ご一緒させて
頂いたみなさん、本当にありがとうござい
ました。おかげで最後まで楽しく過ごす
ことができました(。-_-。)
そんなこんなで食事が始まる頃にはすっかり
落ち着き、臨戦態勢(๑•̀‧̫•́๑)
まずは前菜です。
最高級フレンチとはいえ、ランチですから
抑えめ抑えめ。かなり無難に通してる感じ
ですが、浅い缶に入れた、白身スモークの
ゼリー寄せはプレゼンが素敵でしたね。
ベトナムにもよくあるBasaのスモークを
活用したら楽しい一品が作れるかも。
パンはこちらのオリジナル、というか、
さすがに大きなホテルだから専用の
ベーカリーをお持ちですわね。
それにしてもライを使ってるっぽい
カンパーニュ的なやつはお見事でしたわ。
「これ、こちらで焼いてらっしゃるの?」
とお尋ねしたら、シェフ自慢のレシピですと。
デニッシュも悪くはなかったのですが、
もうこちらの生地が圧巻。そして何かを
訪ねるごとに美しい英語で(一部タイ語
訛りで慣れるのに時間がかかりましたがw)
実にインテリジェントな言い回しで返って
きてたのがさすがですね。会話をしていて
非常に楽しい。
ヴェルヴェットスープと銘打った皿は、
アーティチョークをベースにした、まさに
舌触りがヴェルヴェットな一品で、頂いて
いた白ワインとも合い、至福の一品。
ただここまできてもかなり抑えめ。
シェフのパーソナルデータがないので
なんともいえないのですが、ディナーの
単品でない限りは、やっぱり抑えめになるのか、
Ordinary な印象が拭えない感じ。多分、
こんなものじゃないだろうなぁ、と想像
しつつ次のお皿がこちら。
ホタテのグリルとシュリンプのアンサンブル。
それに別チョイスの牛肉のアソート。
これはそれぞれに妙があったと思うの
ですが、この辺から卓上でのプレゼンが入り
出すため、目立って美しかったのがギャルソン
のみなさん。
10人の卓でしたから、5人のギャルソンが
それぞれ両手に料理を持ち、もちろん自分が
立つ位置の左右の方のチョイスは把握し
(さすがに「はい、この料理頼んだ人ー!」
みたいなことは言わない)メートル・ド・テル
(フロアの責任者)と思われる方の呼吸で
(なんと目配せもしない!!)一斉に皿が
卓に配置される様は、なかなかの快感。
背筋を伸ばしたまま、当人とその横の人に
ギリギリ聞こえる程度の穏やかな口調で
お料理の解説がされるのですが、背筋が
伸びる思いというのはまさにこのこと。
これだけのサーヴをされた限りは、
客として美しくありたいもの。
説明が終わり、ほぼ同時に作業を終えた
ギャルソン達が一歩引くまで、こちらは
微動だにせず。メートルが視線を落とし、
すっと身を引いたら「召し上がれ」のサイン
です。この呼吸。この言葉が無い内にある
会話。これができるお店に、どのくらい
来てなかったことか(苦笑)
私はホーチミンのフレンチをこよなく愛して
いるけれど、それぞれのシェフがのびのびと
その真価と個性を生かしているという点に
おいてはダントツにそうなのだけども、
この手合いの、きちんとドレスト・アップを
してハイコンテクストな応酬を楽しめるお店
はまだ少ないため(それが良さでもあるのだ
けれど)そこは完全にこちらに軍配。まぁ
いうてもバンコク最高級とされてるとこ
ですから、これがスタンダートということ
でもないのかもですが。
で、メインのチョイスの一つがタラだった
のですが、これを頼んだ方は幸い。場に
あったのが泡、白と来てのロゼだったので、
おそらくこのタラはふくよかにそのワインの
流れを受け止めたのでは無いかと思われます。
私のチョイスは。。。
チョイスにあったら必ず選ぶ、鴨だったんです。
これが。。。それまでの流れをぶっちぎっての、
すんごいドきつさ(苦笑)
ローストはもちろんのこと、生地に閉じ込めた
内臓との合わせは、場合が場合なら喜んで
いただいたのですが、この日は残念ながら
条件揃わず。
こちらのお店は、「フランスの食材に非ずんば、
フランス料理に非ず」ということで、食材の
殆どをフランスから取り寄せているという本格派、
と聞いている。となれば、ジビエに近いこの手の
素材の調理法だって、かなりクラシカルにやって
るはずで、その意味では本物なんです。ただ。。
本物のフランス料理は、ワインと一緒にいただく
のが鉄則。というか、別に「則」じゃないわ。
彼らの自然な事の成り行き。よほどの理由がない
限り、これだけの食事を前にワインを共さず
いただくということは殆どなかろうと想像します。
となると、当然料理もワインありきの味付けに。
本場の方の、食べる側がアジア人であることを
忖度しない本気の料理の塩分、各種の味の要素の
強さといったら、
「これ、なんかの間違いじゃね?」
ってくらいにストロング。
例えばブルーチーズの塩分を想像して欲しい。
もしくは、納豆のような強い香りのするウォ
ッシュタイプ、または本気のシェーブル。
あれを単体でバクバク食べる人がいるだろうか。
いない、とは断言できませんが、たいていの
場合は何かと合わせる。パンであったり、
他の食材であったり、何より「ワイン」。
それがあるから美味しく食べられる。
それがないと単体では成立しない。
このダックの皿はまさにそれで、赤ワイン
なしに食べることは非常に困難。しかし、
もうそれから追加で頼めるタイミングでもなく、
何より、団体で入っているので(しかも
アウェイだ)、一人だけスタンドプレーを
する気にもとてもなれない。
そもそも、それまでの料理がいぶかしく
思えるほど「綺麗な処理」だったため、
こっちもうっかり気を抜いた。
途中に上り坂な様子を感じられたら、ああ
このままじゃメインがやばい、置き去りに
なると感じられたのかもしれませんが、
抜かりました。メインをこんなにガツンと
出して来るとはなぁ。
周りの方がお気を悪くされてないことを切に
願うのですが、お皿の半分でギブアップ。
来るな?と思っていたら、案の定メートルが
やってきて、心配をしすぎるでもなく、しかし
極上に丁寧な口調で、
「お口に合いませんでしたでしょうか」
彼らはベストを尽くしているので、料理に
非があったとは思っていない。実際なかった。
が、半分も残されたとあっては、この質問
をせざるを得ない。
口に合わないなんてことはない。
この料理は素晴らしいけど完璧にするための
ものを私がオーダーし損ねた、申し訳なかった、
と伝えたら、直接は言わなかったのに、返って
きましたね。
「次回この料理をお召し上がりになるときは、
赤をご提案させてもらうことをお許しください」
このメートルは本当に優秀。
私が怒っているわけではないことを理解して
いますと、「次回」がある前提で表現し、
赤の提案を示すことで「何が足りなかったか
お察しします」と共感してるんである。
これには全く頭が下がった。
厨房は料理が出ていった時点でできることがない。
あとはギャルソン、そしてメートルの腕で卓を
指揮しなければなりません。客席での事情は
色々あって、展開も都度様々。その全てに柔軟
に対応できてこその彼らの仕事。ただ料理を
運んで来るだけではないんである。
こんなプロフェッショナルなお給仕をして
もらったのは久しぶりのこと。料理もさる
ことながら、彼らとのやりとりを楽しめる
だけでも、こちらで食事をする甲斐はある
というもの。
というか、ここにふさわしい振る舞いを
できていただろうかと振り返る。たまに
こういうお店に来ると気が引き締まりますね。
客もお店を構成する要素なので、このお店に
行ったことを誇るのであれば、自分もそれに
値する振る舞いができるようであらねばねば。
そもそも正装をされてる皆さんの中に亜種が
一匹。心広く受け入れてくれた皆さん方と
お店に感謝申し上げます。
今回は団体だったので特別ですが、もし
小数人で行かれて飲める人でランチを
楽しまれる際は、よほど飲まれる場合で
なければ、グラス単位でなるべく料理に
沿ったものを、途中で変えながら選んで
もらったほうが良いかもですね。より、
こちらのお店のお料理を楽しめるかと
思われます。
なぜか食後にクイニーアマンが配られまして、
一人一つくらいはあったのかなぁ。とても食べ
きれなかったのでカットしてもらい、小さな
一切れをいただいたんだけど、やはりここの
ベーカリーは素晴らしい。すんごい美味し
かった。
あれだけのコースの後に、下手したら1食
分のカロリーくらいあるかもしれないこいつ
を出すのはどういうこった?!と思わないで
はなかったですが、美味しかったので無問題。
さらには手土産にマカロンをいただいたの
ですが、これがまた絶品。どちらにしても
パティスリーで買って帰ろうと思ってたから
渡りに船。
これは流石の味わいで美味しかった。
しかし他にも、チョコレートコーティングの
キャラメルなども出てきて食後に続く甘い
もののズルズル感がすごかったwww
なんだろ、そこで充足感を満たそうとして
るんかな。チーズは出てこないけど甘い
ものが色々w
10人でワイン3本をシェアしてお料理込みで
約一万円。この値段を価値ある価格と見るか、
お高いなと思うかは、ほんと客の側が問われる
お店だと追います。夜になると数万円コース
だろうから、私にはまだまだ早いなぁ。
値段の話だけじゃなく、経験値をもうちょっと
積まないと今回みたいなことになる。
バンコクには、この店に値する客である、
と、自信を持って言える層がたくさんいらっ
しゃるんだろうな。ホーチミンとは集まって
きてる人数も違いますもんね。良い経験を
いただきました。
次回はもう少しスマートに、そして料理に
ちゃんと向き合える体制で挑みたいと
思います(๑•̀‧̫•́๑)
Le Normandie
48 Oriental Avenue, Bangkok
Time : 21:00 – 14:00
Spent: 3,500 TB/ Person
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