これ、私が日本で買ったり遭遇したものではなく、ホーチミンに戻ってきてからお友達がお土産に持ってきてくださったのですが。。。素晴らしく貴重で美味しいお菓子をいただきましたよ!
老舗の引力
三笠会館さんと知り合ってから、どうも老舗と呼ばれるお店にご縁が増えたような気がします。
言葉はカジュアル過ぎるかもしれませんが、類は友を呼ぶ。ということなのでしょうか。
……あんたも年季ものになってきたってことではないか、っというツッコミは聞こえないということにします。
何を持って老舗というか、ということもありましょうが、目先のことで言いますなら、飲食店、10年続くということもすごいこと。それが20年、50年とかなってくると驚嘆しかない。
三笠会館さんに至っては100年とのことだし、今回ご紹介する、和菓子好きの方で知らぬ人は居られぬであろう、とらやさんに関しては、公称400年、実質500年とか伺ってます。
半世紀て(・∀・;
そんな老舗のとらやさん。さぞかし伝統の味を守るために頑なな姿勢をお持ちなのかと思いきや、45年もの以前に、パリに支店を構えられてたってご存知でした?
パリ支店
私は無作法にも、そもそもパリに支店があることを知りませんでした(苦笑)
聞けば時は、1980年、虎屋はパリに海外初の店舗を開狩れたとか。
フランスは何かと日本文化を尊重してくれるところがあった、とは、特に芸術面では聞いていたものの、「和菓子」に於いては、当時ほぼ知られておらず、
「これはお菓子なの?」
「どうやって食べるの?」
という質問から始まったとか。
でしょうね。
それでなくとも、お菓子に関しては一家言おありになる国民性と思われる中、その華やかさとは対極にあるような和菓子の概念。
もう、「45年前のパリに和菓子屋さんの支店を出店」と聞いただけで、そして詳細を想像する間もなく、その圧倒的な仕事量、ご苦労の様子、精神的な葛藤などなどのパワーに圧倒されてしまいます。
こと、料理の分野に於いての昔のフランスは、かなり排他的な風潮があったと漏れ聞きますし、そもそもお店を出店するというビジネス的な側面で、いろんな法整備が外国人に便利にはできておらず、且つ厳しく、さらには文化背景の違いもあって、一朝一夕には行かなかったという話を聞いたことも。
それこそ、このパリ支店のお話は、三笠会館の方から伺ったのですが、掘り下げるのが恐ろしいほどのパワーを感じたものです。
痺れる居住い佇まい
私は行ったことないので、どんなお店かも想像すらできなかったので、公式ページを覗いてみました。

なんかもう、お写真を借りするのも恐れ多い感じでしたので、どうぞ上のリンクに飛んでみてみてください。
「やらと」
の、シンプルながら威風堂々とした暖簾の圧倒感よ。。。
実際、フランスに「暖簾」がかかったのは、こちらのとらやさんが初めてではなかったかとのお話もあり。
栄誉
そしてその創業は1980年だったそうなのですが、なんと、たったの4年で、コルマール市にあるバルトルディ美術館において黒川光朝の写真展「京都の四季」が開催するに至られ、それに対し、市長から日本人として初めての名誉市民の証書が手渡されたという。
フランスではこのように「地域から正式に讃えられる」ということは非常に価値のあることだと聞いたことがあります。
それを、その時代に、たった4年で????
1位は「クリヨン(有名な高級ホテル、オテル・ド・クリヨン内のサロン)」、2位は「フォション」と「とらやパリ店」が同率で選ばって、なんですかそれ(・∀・;
フランスでのそういうことって、ただただ誠実に商品を作ってれば良い、美味しければ良いという話ではないと思います。
かなり綿密に戦略的に、且つ、実を伴って、もちろん強い魅力と誠実さ、海外においてはより一層のご苦労や労力、エネルギーが必要だったものと推察。
実際最初の15年は大変だったとの声もあった、と、何を調べても出てきます。いや大変どころの騒ぎじゃなかっただろうと思う😅
「これは黒い石鹸ですか?」と聞かれたことすらあったとかいうエピソードもある中、何もかもの前例がなさすぎたであろう時代のお話。その後の数々の実績にも驚嘆の連続。圧巻、とはこういう時に使う言葉なのかもしれない。
こうしてにわかが触れることすら烏滸がましく感じてしまうが、今回いただいたものに対して「あー美味しかった♪」で済ませるのまた余りに非礼な気がしたので、少しだけでもと思い紹介させてもらった。
たったこれだけ書いただけでもクラクラするわw
45周年記念のお菓子
当然ながら、ファンが多いとらやさん。
限定商品などの話が上がった時点で話題となり、発売されたとなればそこかしこで話題になってる。
しかし自分はそこまで和菓子Loverではないので、とらやさん情報に張り付いてはいない。だから知らなかったのだけど。。。
https://www.toraya-group.co.jp/
パリ支店・45周年記念のお菓子として、こんなものが発売されていたらしい。
すまない、紹介しておいてなんだが、これはもう完売されたそうだ。でも記録に残しておきたかったので、書いてる。
圧巻
こちら、カカオとオレンジを使ったt「ノワールの調べ」。
あ、羊羹ですね。
しかし、カカオとオレンジ???
かっ、カカオとオレンジだw
もちろん羊羹ベースはそこにある上での、カカオとオレンジ。
辛うじて視覚的に2層に見えますが、これいただくと恐ろしいほど繊細に融合していて、羊羹???洋菓子???いや羊羹だな???と軽く混乱しそうになるけど、味のまとまりが混乱を防ぐ。
美味しい。
お茶でもよし。紅茶でもよし。コーヒーでもよし。
なんならラム酒のロックをチミチミやりながら食べるのも美味しそうだ。
なんか。。。自分が知ってる羊羹の領域とは階層が違う😅
これが「パリ」という地で重ねてこられた和菓子の新境地なのか。
またこちらも素晴らしかった。
ポムカルバドス。
リンゴ??🍎
しかもカルバドス酒を使ってる???
羊羹ってこんな風に装いを変えることができるのか、という衝撃。しかし、洋の要素をこんなにも軽やかに打ち出しながら、和の礎がしっかりと全体を支えている盤石さ。
お友達と一緒にいただいていたので平静を装ってはいましたが、ちょっとこれは狼狽しましたw
慣れれぬ味、異色の食材の組み合わせには、人間「警戒心」というものが働きます。それは美味しさを感じるストッパーとなり得ると思っているのですが、そんなもの待ったく意に介さないスムーズさで、さらっと楽しい驚きをもたらす繊細な勢いよ。
思い違い
老舗のお店って、その味を守ることが最も大事とされることかと思ってました。
もちろん変わっていない、または変わっていないように「感じてもらう」ためには、実質色々と変えていかないといけない部分はあるのだろう、とは思ってした。
しかし。。。。
なんだこの革新的なお味は。
変わらず存在するのは「上品さ」と「安定感」。
特別仕様の限定レシピに安定感も何も、と思われるかもしれませんが、芯にあるものは、そこから作り出されるものが何であれ本質が滲むもの。
畏敬の念を抱く
という言葉がありますが、まさに、感嘆ではなく、それをずっと通り越したところにある、「畏れ」という感覚が一番近かったかも。
美味しくて浮き足立つ気持ちもありながら、恐れ慄く感覚もあるという、今回は、とても不思議な体験をさせてもらいました。
とらやさん。
恐るべし。
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